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公的医療保険制度
すべての国民がいずれかの医療保険に加入し、必要な医療を平等に安価に受診できる「国民皆保険制度」。1961年に制定されたこのシステムは、先進国の中でもあまり例がない。
現在、公的医療保険は5つ。まず、主に大企業のサラリーマンとその家族が加入している企業の健康保険組合。独自の健保組合がない、主に中小企業に勤める人は、政府が運営する政府管掌健康保険に加入する。他に、公務員が加入する共済組合、船員が加入する船員保険がある。そして、上記以外の人が加入する国民健康保険。自営業者のほか、企業を定年退職した人もこちらに切り替わる。
このため高齢者の加入は国保に集中する。そこで国保が財政破たんしないよう、70歳以上の高齢者の医療費は別枠を設けている。これが老人保健制度で、健保組合や政管健保、国保などから徴収する拠出金で、高齢者医療費の約7割を負担、残りを公費で補っている。
抜本的医療制度改革
医療制度はこれまでも何度か変更が行われてきたが、少子高齢化が本格化する21世紀、部分的手直しを続けたのでは財政破たんが避けられない状況になってきている。
特に2000年度まで8年連続の赤字が続く政管健保は深刻。2002年度中にも過去の積立金が底をつき、医療費の支払いができなくなることが懸念されている。
財政危機の主な原因は、景気低迷や若い世代の人口減少で横ばいの保険料収入と、高齢者を中心に増え続けている医療費支出のアンバランス。現在、年間の国民医療費は約30兆円だが、70歳以上の高齢者医療費が3分の1を占めている。その7割を各医療保険制度が拠出金として負担していることが大きな重荷になっている。
2002年度の医療制度改革では、政管健保の保険料引き上げ、医療機関の診療報酬引き下げ、薬価改定、老人保健制度の対象年齢引き上げなどが決定したが、これだけでは抜本的改革には届かない。数年のうちに患者負担が増えることは避けられないだろうと見られている。
オーダーメード医療
21世紀の新しい医療のあり方として注目されているのが、オーダーメード医療。遺伝子研究の進展にともない遺伝子レベルの検査で個人の体質を診断、一人ひとりに合わせた治療法を選択するというものだ。これが可能になれば、無駄な治療や重い副作用の危険を避けられるようになり、膨張する医療費抑制にもつながるという期待も寄せられている。また、発病する前に最も適切な予防法を講じることも、医療の重要な一環になるだろう。
2010年にはオーダーメード医療が現実化しているという予測もあり、厚生労働省は2000年から糖尿病と高血圧で薬の効き方と体質の関係を血液検査で調べる指針作りを始めている。がん保険や特定疾病保険など医療保険も、遺伝子情報の取り扱いの点から論議を呼びそうだ。

